南米メスティーソ、ムラート、混血社会と分子人類学。
この写真は、国立科学博物館人類史研究グループ長の篠田博士です。
篠田博士の元には、全国から次々と「骨」が届けられるそうですが、博士はDNA研究のスペシャリストなんですね。
分子人類学、大変興味深い分野なんですが、その成果によって今後どんな歴史の謎が解明されて行く事になるのか非常に楽しみです。
中南米諸国は、もう五百年もの長い間、先住民族(インディヘナ)と白人、白人と黒人などのような異人種間の混血が進んでいるので、逆に言えば純粋なインディヘナや、純粋な白人、黒人と言う人は、もうかなり少なくなって来ているんですね。混血が当たり前の社会だと言う事です。
先住民族(インディヘナ)と白人の混血をメスティーソと呼びますが、この写真で分かるように、メキシコからパラグアイまでの、中米・アンデス諸国の殆どの国で、大多数を占める勢力になっています。
しかしこのメスティーソ、ほとんどの女性のミトコンドリアDNAは先住民族(インディヘナ)のものなんですね。
つまり、白人女性の移民は極めて少なかったと言う事なんです。
そして逆に、メスチーソの男性の場合は、ほとんどの男性のY染色体は、ヨーロッパ人の移民のものを受け継いでいます。
これがどう言う事か分かりますか?
スペイン人の進出によって、大多数の先住民族(インディヘナ)の男性は、子孫を残すこと無く命を落としたと言う事を、遺伝子研究の結果は示していると言う事なんです。
科学的な研究が進む事によって、歴史の真実に肉薄して行く事になると言う事なんですね。
現代人の全ての女性のミトコンドリアDNAが、二十万年前の一人の女性に行き着くと言うのが、ミトコンドリア・イブの仮説ですが、この仮説について、篠田博士が分かり易く解説しています。
「ミトコンドリアDNAで探る人類のルーツ」