Ancient Japan

考古学。近・現代史。音楽。アート。

摩擦式発火法と、人類のアメリカ大陸進出。

この写真の二人の女性はメキシコのマヤ系の少数民族のマム族です。親子なんでしょうか?


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出展、「少数民族&旅の写真集」




アメリカ大陸の先住民の祖先達は、ほぼ100%、私達と同じモンゴロイドなんですね。

彼らは、今から一万四千年ほど前に、ユーラシア大陸からアメリカ大陸に渡ったと考えられていますが、実際には当時は陸続きだったので、渡ると言うより猟をしながら平原を東進したと言う事なんですね。

現在のユーラシア大陸東端からアラスカ半島に掛けての地域をベーリング陸橋と言います。


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このベーリング陸橋は、たまたまアメリカ大陸先住民の祖先達がここを通った時にだけあった訳ではありません。

ずっとずっと以前からあったのですが、人類が自分達で火を起こせる様になった事で、高緯度の寒い地方にも進出するようになり、彼らがここを通過した後で、氷床が溶け、低地が海に沈み、海峡になってしまったと言う事であって、陸が分かれたのは、比較的には最近の事なんですね。


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(リンクをクリックすると時代ごとの変化が見れます。)



現在の中国の長江下流地域では、二万年前に土器が作られていたようですし、列島でも、それに近い物が出土していますが、これらの事は、明らかに人類が自分達の力で火を起こす事が出来るようになった事と関係している筈です。

それともう一つ、人類の北上を助けた大きな要因として、1万4500年程前から1万3000年程前まで続いたとされる、ベーリング温暖期やアレレード温暖期と言う気温の高かった時代があったそうで、アメリカ大陸先住民の祖先達が未知の大陸に移動した時期とピッタリ重なりますし、私達が大雑把に氷河期と呼んでいるのは、これらの温暖期の気温上昇で、北米やシベリアの氷床の大部分が溶けてしまうまでの事なんですね。

この写真は、それらの温暖期が始まるまでの北米大陸の様子ですが、その北東部を広く覆っているのが、ローレンタイド氷床と呼ばれる氷床だそうで、その氷床の厚さは何と、3000mもの高さになっていたそうです。


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北米大陸を広く覆う氷床の厚さが3000mもあって、その氷が全て無くなってしまう訳ですから、結果的に、地球上の海面が100メートル以上も上昇してしまうのも納得がいきます。

モンゴロイドは、現在、北へ行けば行く程、目が細い、一重瞼である、彫りの浅い平面顔である、体毛が少ない、唇が薄い、耳垢が乾くと言った、寒冷地に適応した形質を持っているのですが、これらの形質をまとめて新モンゴロイド的形質とか、弥生人的形質と言ったりしますね。

私達と同じモンゴロイドが極寒の地に適応出来たのは、「摩擦式発火法」を手に入れた事で、いつでも必要な時に、野を焼く事で、寒さを凌ぐ事と狩猟の両立が出来るようになったからだと私は考えていますが、この事は、極東の土器製作の起源の古さとも関係しているとも思えます。

東アジアの中で、中国南部から日本列島に掛けては、一般に、夏に湿度が高く、火がどうしても必要な冬に空気が乾燥していて火を起こすのには好都合なのですが、その事は「摩擦式発火法」を早くにマスター出来た事と関係があるのかも知れません。

私達モンゴロイドの祖先達は、自分達で火を起こせるようになったから、シベリアを通過しアメリカ大陸にまで進出する事が出来たのではないでしょうか。


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摩擦式発火法と、土器製作の起源と、モンゴロイドの寒冷地適応の形質やアメリカ大陸進出は無関係ではないと私は考えていますし、火の文化は私達の住む東アジアから北へ西へ拡がったのだとも思っています。

現代は電気・ガスの時代ですが、歴史上の人類の拡散は、まさに火の使用の拡大・発展だったと言う事になりそうですね。